クロスドッキングとは?物流センター・TCとDCの違い
よく耳にする物流用語に、クロスドッキングという言葉があります。このクロスドッキングとはどのような意味なのでしょう。ここでは、クロスドッキングとあわせて使われる、TC・DCについても解説します。
クロスドッキングとは
従来の物流センターが持つ役割は、大量の在庫を保管し顧客需要に対して不足なく対応することでした。しかし、近年では入荷した商品・製品を効率的に仕分けし、即座に出荷するという機能が重要視されるようになっています。こうした考えから生まれたのが「クロスドッキング」というシステムです。クロスドッキングでは、製品を在庫することなく、すぐに仕分け作業を行い出荷先ごとに集約されて配送されるため、リードタイムと在庫を減らせるというメリットが注目されました。
このように、トラックが乗り付けて荷物の積み替えを行うドックとドックを結び、商品が「通過」または「交差」するように仕分けされることからクロスドッキング呼ばれるようになったようです。
スタイルの異なる二種類の物流センター
物流センターには、大きく分けて2つのスタイルがあります。
トランスファーセンター(TC)
トランスファーは「渡す」「乗り換え」などの意味を持つ言葉です。このことから、トランスファーセンターは「通過型物流センター」とも呼ばれます。また、物流用語としてTCと略されます。
TCは、商品を在庫することなく仕分けを行い、すぐに出荷するための物流センターです。また、選別や検品の機能も有します。小売業者、特にスーパーマーケットやコンビニエンスストア、大型量販店などは、TCを利用することが多く、日本における物流センターの主流といえるでしょう。
クロスドッキングを行う場所としてTCを指す場合が多く、「クロスドッキング=TC」として扱われることがありますが、厳密には異なります。TCには商品の開梱や検品などの機能があるのに対し、クロスドッキングでは商品は開梱せず、コンテナやパレットごとに仕分けます。
ディストリビューションセンター(DC)
ディストリビューションは「分配」や「流通」といった意味です。ディストリビューションセンターは欧米に多いスタイルで、「在庫保管型物流センター」とも呼ばれ、DCと略されます。
DCは仕分けや検品のほかに、在庫保管や荷合わせの機能も有し、総合的な物流センターとしてその前後の配送に関わる業務の多くを軽減する役割を持ちます。このとき、「通過」という点を重視した場合、在庫保管機能のあるDCはクロスドッキングには含まれません。しかし、「交差」するという意味での仕分け・積み替えを行う場所という点では、クロスドッキングに含まれることもあります。
クロスドッキングが物流に与える影響
日本では多くの場合、TCをクロスドッキングと捉え、DCはそうではないと考えられています。このとき、TCによるクロスドッキングには次のような狙いがあります。
- 小ロットでの仕入れによるリスク低減
- 在庫コストの削減
クロスドッキングでは在庫コストに関してのメリットが大きい一方で、小ロットでの仕入れの場合は一長一短といえます。小ロットで仕入れることで売れ残りの不良在庫を大量に抱えるリスクを軽減できる一方で、大量購入による価格交渉ができないため仕入れ単価が高くなる可能性をはらんでいるほか、発注から納品までの時間、リードタイムが長くなる可能性もあるのです。
これに対し、商品をまとめて一括購入することが可能なため、購入コスト面で有利なのがDCです。また、在庫を持っているため緊急出荷にも対応でき、即納が可能となります。しかし、在庫を持つということはコストとリスクを伴うため、DCの特徴である在庫を持つという点こそが、デメリットとなる場合もあります。
このように、TCとDCではそれぞれに向き・不向きがあり、どちらが優れているということは簡単にはいえません。実際にはTCの機能とDCの機能が併用される物流センターが多く、商品の特性に合わせ流通方法を選択する必要があります。
商品に適した流通方法の選択を
物流用語としてのクロスドッキングと、物流センターの2つの形態、トランスファーセンターとディストリビューションセンターについて解説しました。クロスドッキング、そしてTCとDC。これらの流通プロセスにはメリット・デメリットがあり、実際には商品ごとに運用形態を選択し、同じ物流センターの施設内でも棲み分けする必要があります。それぞれの意味・手法をしっかりと理解し、商品に適した流通方法を選択できるようにしておきましょう。
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