梱包資材の値上げはなぜ起こるのか?
梱包資材の値上げがいろいろな業界で話題になっています。価格変動、とりわけ値上げは調達担当者の大きな関心事です。しかし、こうした価格変動はなぜ起こるのでしょうか。今回は、梱包資材値上げの原因をたどります。
原油価格の変動はなぜ起こる?
梱包資材の価格変動を大雑把に捉えるならば、その変動は原油価格に連動していると言っても過言ではないでしょう。梱包資材の価格と原油価格が連動している理由については次章で解説しますが、その前に、そもそもなぜ原油の価格が変動するのかを考えてみます。
原油価格の変動は、あらゆるものの価格と同様、需要と供給の市場原理によって起こります。売り物が少なく買い手が多ければ値上がりし、売り物が多く買い手が少なければ価格は下がります。売り物が余って価格が下がるのを人為的に防ぐために行うのが出荷制限です。豊作の年は出荷量を抑えて価格下落を防ぐ農作物の出荷制限と同じことが原油の場合にも行われます。ただし、原油においては、キャベツが高いからレタスで代用しよう、というような買い手側の選択が難しいという点があります。原油の大量消費国の景気が悪化し、需要減となっても、産油国は減産して価格維持に努めるので原油価格は上がってしまいます。原油価格は、2014年には1バレル100ドルを超えていましたが2017年3月現在では1バレル50ドル前後と、一見、低い水準に推移しているかのように見えます。しかし、2000年以前は20年間近く1バレル30ドルを下回っていたことを考えると現在の価格が低水準とは言えないでしょう。
樹脂だけでなく紙の価格も原油価格に影響される?
梱包資材の材料のなかで大きな割合を占める素材にプラスチックと紙があります。プラスチックは、石油を原材料とするものが多いため、その価格は原油価格に直結します。紙は石油を原材料としているわけではありませんが、価格はその原油価格に影響されます。紙の原材料であるパルプから紙ができるまでには、高温高圧の蒸気を使用する工程があり、そのためのエネルギーとして石油が使われています。紙の価格に燃料費の占める割合は大きいのです。つまり、原油価格が上がるとプラスチックでも紙でも原材料費が高くなり、結果として梱包資材が高くなってしまうのです。
古紙価格の変動はなぜ起こる?
梱包資材の価格変動のもう一つの理由が古紙価格です。一般的な段ボール(C5)の古紙含有率は90%以上で、段ボール以外でも梱包に使われている紙製品に古紙利用のマークがついているのをよく目にされることと思います。梱包資材の原料となる紙、そのうちリサイクル紙の原料である古紙価格が変動すれば当然紙で作られた梱包資材の価格も変動します。古紙のもととなるのはリサイクルのために回収された紙製品です。本や雑誌などの古紙利用製品の生産が増えると、古紙の需要は増大します。需要は増大しますが、本や雑誌が古紙となるまでには時間がかかるため、古紙の供給が減り価格が上昇するのです。
また、日本の古紙は質が良いため海外からの需要があり、古紙の輸出が行われています。そのため国内の古紙需要だけでなく、中国など日本の古紙を多く輸入している国の景気変動も価格に影響しています。
製品の価格にも影響を与える梱包費、梱包費のなかで梱包資材の価格変動が起こる理由を、原油価格、紙とプラスチックの価格、古紙価格の三つの面からたどりました。梱包資材の価格上昇に備えるには、トータルで梱包を見直すことが必要になるかもしれません。梱包設計を適切にすることで、過剰な部分をなくしたり、形状を変更して緩衝材を減らしたり、構造を変えたりすることで安価な素材を適用することができるかもしれません。また、梱包費にとどまらず、取り扱いのプロセスや保管・運搬の効率など物流をトータルで見直すことができればより効果は大きくなるでしょう。梱包資材の調達や物流コストについて、詳しくは梱包のプロに相談してみてくださいね。
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