物流業界のAI活用法!現場の課題を解決する方策とは
インターネットショッピングの普及により、外出しなくてもモノが手に入る時代になりました。しかし、便利になる一方で、EC(Eコマース、つまりインターネットショッピング)サイトで買った商品を「運ぶ」役割を担う物流業界では、人手不足が深刻化しています。そこで活躍が期待されているのがAIです。現場の活用ケースや、業界で抱える課題を解決するための方策を詳しくご紹介します。
物流業界が抱える課題とは?
日銀(日本銀行)が発表した「企業短期経済観測(短観)調査(2017年12月)」を見ると、物流業界は宿泊・飲食に次ぐ人手不足であることがわかります。「人手不足」というと、何となく就業者が減っているというイメージを抱きがちですが、実際には需要が急激に伸びていることが物流業界での原因となっています。
需要急増の背景にあるのは、年率10%もの成長を続けるEC市場の拡大。現在では、多種多様な商品が注文の翌日には配送される、Amazonのようなサービスを多くの人が利用していますが、それに伴って物流業者が運ばなければならない宅配便はなんと毎年1億個以上も増えているのです(国土交通省による2015年以降の統計)。
また、積載効率の悪さという問題もあります。トラック1台の積載率は現在ではおよそ41%となっており、多くのトラックが最大積載量の半分以下しか荷物を積んでいないのです。この問題の背景には、都市と地方の需要格差の拡大や、小口で細かな時間指定の商品が増える、といった多くの要因が複雑に絡み合っています。
現場でのAIによる活用ケースは?
このような状況を打破するため、検討されている方策のひとつがAI、IoT、ドローンといった最先端の技術の活用です。
例えば、ドライバーの人数や荷物の数量といったデータをAIに解析させることで、最適な物流センターへの人員配置を割り出すことが研究されています。また、さまざまな業界でAIが応用されているのが「より正確な将来の予測」という分野。物流業界でもAIを活用して、物量をより高精度で予測することが期待されています。物流センターを経由する物量の予測を可能にすれば、積載率に見合った荷物を積み込めたり、再配達の依頼に対し、配送ルートや所要時間を学習したAIが予想時間を算出したりできるのです。
AI実用化の1つの事例としては、日立製作所が知られています。同社は自社で開発した「Hitachi AI Technology/H」を使って、現場の実務実績を解析しました。ここから導き出した、倉庫内の同じスペースで重複した作業をしないという調整を実施。結果として8%ほど効率があがりました。
同社によれば、「Hitachi AI Technology/H」は倉庫内スペースの配置から作業手順を再編成する方法だけではなく、現場の作業員が工夫しているスキルといった情報も取り込むことが可能。幅広い分野での業務改善を行えるとしています。
AIがもたらす効果は?
従来の倉庫内作業では、出荷する荷物を取り出すために作業員が倉庫内を探し歩いていました。ここでAIを搭載したロボットを活用すれば、荷物が入った棚を作業員がいる場所まで運ぶことが可能です。作業員はロボットが運んだ荷物を取り出すだけで出荷準備が整い、入荷作業も同様なので作業効率が大幅にアップします。
これはひとつのわかりやすい例ですが、AIを搭載したロボットを活用することで、より正確な作業が実現できること、それにより作業の質の向上、さらに人件費の削減や配送費の上昇抑止に期待が込められています。
まとめ
ますます人手不足が危惧される物流業界において、問題は山積みです。EC市場の拡大によって消費者は便利になる一方で、物流業界の労働環境は過酷なものになっています。今後、業界の救世主としてAIが大胆に用いられるケースも増えるかもしれません。
荷役作業から配車、倉庫作業などにまでAIの活用範囲を拡大すること、また精密かつ正確な作業をすることで作業の質の向上や労働者の負担軽減を実現し、人手不足を解決する一助になりそうです。
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