SDGs思考の梱包仕様化を成功させるポイント
SDGs思考の梱包資材とはどのような梱包資材でしょう?
トヨコンは、そのモノ自体が持つ社会的、経済的、環境的なあらゆる不平等/不都合/不条理/問題点などを改善する事を目的として用いられる梱包資材と考えています。(関連記事:【SDGs思考の梱包資材】立体紙緩衝材”ワッフルパッド®”)
SDGs仕様化の手法と進め方の例
梱包材を環境配慮材に変更するなど狭義な捉え方のほか、作業性や保管性の効率向上、物流にかかる作業者の負担緩和などSDGsの目的を意識することで、限りなく広範な改善の可能性があると考えています。また環境配慮材と聞くと、何やら高価な新素材か?と考えてしまいがちかもしれませんが、従来から存在する素材を有効活用することで、十分にSDGs思考の梱包仕様化とすることは可能と考えています。
もちろん、新たな素材の開発も活発に行われており、大いに期待していますが、コストや流通性などの観点も無視できません。海外向けでは、新素材に対する対象国の規制の確認も必要となってきます。
キーワードを用いて検討して視る
SDGs仕様の具体化には、製品の特長や製品戦略によって、その包装形態は千差万別あり一概に記載できるものではありませんが、例えば改善したい現状の梱包仕様に対し「脱炭素、脱プラ、省スペース化、リサイクル化、効率アップ、高品質化」などのキーワードで見直す方法により、SDGs思考の梱包仕様に変えることができます。
さらに梱包とは無関係と思われる、「差別、不公平、品質過剰、生産過剰」などのキーワードでは、意匠的色彩や取手穴形状、取扱性、保管性などの視点で改善できる可能性を秘めています。
SDGs思考の梱包仕様化事例
これらのキーワードを用いたSDGs思考の梱包仕様化事例を紹介します。
キーワード①”脱プラ”事例
IT用精密機器類の梱包仕様改善事例です。形状が複雑かつデリケート部品を搭載する装置のため、ウレタンフォームにより、1台ごとに全方向を保護する個装仕様を採用していましたが、プラスチックを用いない梱包仕様、脱プラ化を目的に、緩衝材に段ボールを検討、衝撃を吸収する観音開き構造の窓など、専用の仕切り板構造体を開発。形状の異なる各装置共通化と規定の落下試験をクリアしました。
これは海洋プラスチック汚染問題のプラスチック排除による「GOAL14 海の豊かさを守ろう」や省スペース化などによる「GOAL17 パートナーシップで目標を達成しよう」などのSDGsを推進する梱包仕様に改善され、同時にコストダウンを達成できた事例です。
■梱包仕様を検討したIT用精密機器類
キーワード②”脱炭素”事例
扇風機用梱包材の事例です。ここでも脱プラとなる発泡プラスチック(EPS)緩衝材を段ボール材化したものです。結果、脱炭素や脱プラ、リサイクル性・保管効率・輸送効率などの向上を実現したものですが、段ボール緩衝材は高さ1mからの落下衝撃に耐えられる構造を新たに開発しました。
簡易的算出による参考値ではありますが、CO2排出量の大幅低減が図れた事例です。
1) LCA値:Life Cycle Assessment
本資料では社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会”包装用緩衝材のLCA研究報告”平成15
年発行の数値を採用しており実状況と異なり、あくまでも参考値である。(調査範囲は原料の製
造、製品製造・加工、流通・販売であり、原料採取、使用・消費、廃棄・リサイクル段階のCO2
排出は含まない)
本事例では脱炭素による地球温暖化問題への取り組みとして「GOAL15 陸の豊かさも守ろう」や「GOAL11 住み続けられる街づくりを」などのSDGsを推進できる梱包仕様に改善された事例です。
まとめ
見直しを検討されている多くのお客様から「従来梱包仕様条件はそのままにして、環境配慮材化したい。」「可能であれば、コストダウンしたい。」とお問い合わせをいただきます。見直し活動を成功させる秘訣の一つとして、「梱包条件を徹底的に見直し、明確化すること」が考えられます。
例えば、落下評価試験における落下高さや梱包落下試験JIS規格の適用レベルなど、なぜその梱包条件なのか、梱包する製品の特長や物流工程の状況を把握し、実態に沿った現実的で真に必要な条件を再検討し設定することが、SDGs思考の梱包仕様化や合わせてのコストダウンへの近道となるかもしれません。
SDGsの取り組みのきっかけや検討するにあたってのヒントとなる情報などを解説した、無料のe-book「SDGs思考の梱包資材」があります。ご検討の際にぜひご活用ください。