ロボティクスはこれからの物流に必要不可欠!その深い関係とは
最近さまざまな分野で「ロボティクス」という言葉をよく聞くようになりました。ロボティクスとはどのような意味を持つ言葉なのでしょうか。物流と密接な関係にあるロボティクス。その言葉の意味と、物流との深い関係についてご紹介します。
広がり続けるロボティクス
元来ロボティクスとは、総合的なロボット工学を指す言葉でした。つまり、ロボットをどのように制御していくか、あるいはそうした目的の回路をいかに設計するか、といったものです。しかし、今では産業面だけでなく医療や介護などさまざまな分野での応用も視野に入れた、ロボットに関する科学研究全般をロボティクスと呼ぶようになっています。
AIやIoTは、かつてロボティクスとは別の分野として研究されていました。しかし、今ではロボット開発と切り離せない存在となっています。そのため、現在ではAIやIoTもロボティクスの一部として考えられることもあります。
このように、ロボティクスに含まれる分野は広がり続け、それに伴いロボティクスの市場規模も拡大し続けているのです。
ロボティクス市場はどこまで成長するのか
富士経済が2018年に発表した市場調査によると、業務・サービスロボットの世界市場は、2025年までに約5.75兆円、2017年の市場規模に対し、4.4倍に達すると予想されています。業務・サービスロボットには、オフィスや医療・介護の現場、物流現場などで活躍するロボットとしています。そのなかでも、物流・搬送用、家庭用、ドローンを含むその他のロボットが市場成長の拡大をけん引すると予測しています。
こういったロボット市場の成長を裏付けるデータをまとめているのが、国際ロボット連盟(IFR)が発表した「World Robotics – Industrial Robot Report 2018 publishe」です。ここでは2009年から2021年までのロボット世界販売台数がまとめられ、年平均14%の伸び率となっていることを示しています。
一方で、経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、日本国内のロボット市場予測を発表しました。この調査にはサービス分野、農林水産分野、ロボテク分野、製造分野などすべてのロボット産業が含まれています。これによると、国内のロボット産業市場は2025年に5.3兆円、2035年には9.7兆円の規模にまで拡大する可能性があると予想しています。
このように、ロボティクスの市場は拡大し続けると予測され、今後さらに注目されるであろう産業のひとつなのです。
ロボティクスと物流
物流の効率化は、省人化・無人化を目標に進められてきたといえるほど、「いかに人の手で作業しないか」が求められてきた歴史を持ちます。そのため、物流とロボティクスは密接な関係があるといえ、実際に次のようなロボットが物流業界で実用化されています。
ギークプラスの物流ロボットソリューション
株式会社ギークプラスの開発した倉庫・工場向け物流ロボットソリューションは、ピッキングロボット「EVE」を中心として構成されています。複数のEVEが倉庫内を移動し、商品の置かれたラックを持ち上げ、作業者のもとへと運びます。従来のように作業者がラックを回り商品をピッキングするのに比べ、3倍以上の作業効率を発揮するとしています。
日本大手アパレルのTSIホールディングス、中国最大のECサイトアリババTmallの倉庫のほか、すでに多くの企業へ導入されています。
ライフロボティクスのCORO
ライフロボティクス株式会社の「CORO」は、倉庫内の移動ピッキング作業ではなく、コンベヤで流れてくる製品をピッキングする作業のためのロボットアームです。製品を優しくつかみ取り、1個ずつずれた場所の箱詰めを行うことができます。これまで人の手で行っていたコンベヤから箱に詰める作業を、無人化することが可能です。
ZMPの物流支援ロボットCarriRo
株式会社ZMPの「CarriRo」は、台車型物流支援ロボットです。一見普通の台車に見えるCarriRoですが、搬送作業を快適にするための工夫とテクノロジーが詰まっています。
ジョイスティックで操作するドライブモードによって、人力で押すことなく楽に台車を移動できます。また、ビーコン(発信機)を自動追従するカルガモモードは、ビーコンを持つ作業者をCarriRoが自動追従するため、一切の操作が不要です。さらに複数台の連結移動もでき、作業者は歩くだけで大量の荷物を運ぶことができます。このほか、画像認識技術を応用した自律移動の機能を搭載するモデルもあります。
倉庫をロボットが管理?稼働中のロボット倉庫
このような、物流を支援するロボットが続々と開発されています。そのなかでも特に需要が高いのが、倉庫管理とピッキング作業をするロボットです。現在、ロボットが管理する倉庫は、すでに世界中で稼働しています。
ロボット倉庫については、こちらの記事でご紹介しています。
ロボティクスと物流は同時に進化していく
ロボティクス市場の動向と、ロボットと物流との関わりについてご紹介しました。物流の効率を求める際、省力化・省人化が大きなテーマとなります。このとき、人の力、人の手に変わって作業するのは、ロボットを置いてほかにありません。このように、物流のソリューションがロボティクスであり、また、ロボティクスを進化させるのも物流の需要です。物流とロボティクスは、お互いに密接に関係しながら同時に進化していくものといえるでしょう。
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参考:
- 市場規模は2035年までに5倍に。産業用ロボット業界の成長見込み|ロボット導入.com
- パワーアシストスーツ、ドローン・無人ヘリなどの需要が急増 業務・サービスロボット関連の世界市場を調査|富士経済
- Global industrial robot sales doubled over the past five years|IFR
- (編集者註:2035年に向けたロボット産業の将来市場予測|NEDOは現在リンク切れ)
- (編集者註:2017最新 注目の物流ロボティクスはこれだ!|物流倉庫プランナーズ ジャーナルオンラインは現在リンク切れ)
- (編集者註:AI 物流 ロボットテクノロジー|Geek+は現在リンク切れ)
- 物流支援ロボットCarriRo AD自律移動モデル|ZMP