日進月歩の物流システムに関する新しい取り組み
物流システムにおいて、さまざまな面から新しい取り組みが始まっています。近年、クラウド型のソフトウェアが取り入れられたことで、物流倉庫の在庫管理専用のサーバを構築するための莫大な投資が不要になってきました。ここでは、物流システムの最新トレンドと政府の大規模災害対応の指針などについて見ていきます。
広がるクラウドによる在庫管理
最近の物流在庫管理システムはクラウド型が主流となってきましたが、どのようなメリットがあるのでしょうか。クラウドとは、システムがインターネットを介して提供される仕組みのことです。従来、システムを構築するには自社でサーバを設置することが不可欠でしたが、クラウドの場合、システムはサービスを提供するプロバイダのサーバに構築されます。インターネットを通じてサーバにアクセスして使うのです。通常、自社でサーバを持つには初期投資が必要ですが、その分の費用を削減することができます。また、クラウドであればパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットからもサービスを利用できるので、非常に便利です。
クラウド型のシステムはすでに多くの分野で取り入れられていますが、このように、ようやく物流業界にも導入されるようになりました。クラウド型在庫管理は、初期費用だけではなく、ランニングコストも大幅に軽減することができます。また、サーバ設置が不要なので、サーバ管理業務、そしてそのための管理要員も必要がありません。
さらに、スマートデバイスによる利用もできるため、専任者がパソコンの前に常駐しなくても、在庫管理が可能です。この利便性は非常に大きく、取引先と打ち合わせ中に在庫状況を確認しつつ、商談を進めるなど、従来の在庫管理システムでは不可能だった、迅速な顧客対応が実現できるようになります。
このように、クラウドによる在庫管理で、ビジネスにより直接的に貢献する運用が可能になるといえるでしょう。
物流総合効率化法改正で物流システムはどう変わる?
次にご紹介するのが、政府の取り組みです。「物流総合効率化法」は、物流コストの削減や環境負荷の低減などを目的として平成17年に制定されました。同法は平成28年に改正され、「2以上の者の連携」による流通業務の省力化、および物資の流通に伴う環境負荷の軽減を図るための物流効率化の取り組みを支援しています。国土交通省は、この背景として「物流分野における労働力不足」や「荷主や消費者ニーズの高度化・多様化による多頻度小口輸送の進展などに対応する」ことを挙げています。
物流総合効率化法の認定を受けた事業者は、以下の支援制度を利用することができます。
- 営業倉庫にかかる法人税や固定資産税・都市計画税の減免制度
- 市街化調整区域に物流施設を建設する場合の開発許可に関する配慮
- モーダルシフト等の取り組みに対する計画策定経費や運行経費等の補助
この支援制度により、物流倉庫の利益がより向上し、新規物流施設の建設が進むことが期待されています。
国交省による災害に強い物流システム構築の取り組み
これらに加えて、東日本大震災以降、日本で多く議論されている災害対策が、物流業界にも影響を及ぼしています。災害時にも物流が機能することが被災地への支援において、極めて重要であるためです。国土交通省では首都圏直下型地震を想定し、支援物資物流に関するアドバイザリー会議を複数回設けています。そのなかで、民間のノウハウを活用した災害ロジスティクスの構築について言及した『支援物資物流システムの基本的な考え方』がまとめられました。同指針によれば、震災時には民間の物流施設の物資集積拠点を最大限に活用し、救援物質を円滑に支給するために、物流事業者に物資拠点の運営を委託することなどを検討するとしています。なお、国土交通省では、首都圏直下型地震だけでなく、日本各地の活断層などから想定される地震や津波などの大規模災害についても同様に対応を検討する指針を出しています。
物流倉庫で扱う商品は年々増えていく傾向にあります。低コストで大容量の荷捌きをするために、サーバ構築費用がかからないクラウド型の在庫管理システムを導入するなど、物流業界も大きな変革を求められています。それに加えて、政府が大規模災害時の物資供給拠点として物流倉庫を見直すなどの動きもあり、今後ますます物流の重要性が増していきそうです。
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