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「外注費」だけではすまない、人手不足時代の物流アウトソーシングコスト

「外注費」だけではすまない、人手不足時代の物流アウトソーシングコスト

輸送業界の人員高齢化に伴い、現在よりもさらに深刻な人手不足が訪れると国土交通省は予測しています。アウトソーシングを検討することはその対策のひとつになりますが、外注費のコストだけ検討すればよい、とはいえません。人手不足を迎えると、物流にはどのようなコストがかかってくるのでしょうか。

人手不足の深刻度は?10年以内に訪れる“超”人手不足

雇用状況の変化やネット通販に代表される小口貨物の増加とともに、物流業界の人手不足が進行しています。2016年に閣議決定された「改正物流総合効率化法案」の資料によれば、トラックドライバーの平均年齢は2013年の時点で大型トラックでは46.3歳、普通・小型トラックでは45歳。50歳以上のトラックドライバーは全体の35%を占めています。

運送会社は必ずしも定年制をとっている企業ばかりではありませんが、仮に定年を60歳とすると、あと10年以内、つまり2020年代の後半には現在のドライバーの3割以上が定年退職するということになります。

新規にそれを上回る採用ができなければ、現在よりもさらにドライバー人員が足りない、“超”人手不足時代を迎えることになるのです。

アウトソーシングすればよい?求められる地域の連携

トラックドライバーに代表される物流業界の人手不足対策のため、国土交通省が打ち出したプランに「モーダルシフト推進」、「地域内配送共同化」と「輸送網集約」の3つがあります。

モーダルシフトは、そもそも輸送においてトラックの占める割合を減らすこと、地域内配送共同化は、複数の企業でトラックなどの設備を共有し、配送のムダを減らそうというもの。輸送網集約は、流通加工から倉庫業務まで一括して担う「総合物流保管施設」とトラック営業所を集約した物流拠点を作り、予約システムなどを取り入れたICT化によって待機時間のムダを減らそうというものです。

こうした物流機能、設備の効率化、省力化は人手不足に対応するために不可欠のものとなってきます。それだけではなく、各企業にとっては設備の転換や省力化にかけるコスト、地域の他社と協力するための物流フローづくりといった有形無形のコストがかかってくることを忘れてはなりません。

たとえアウトソーシングによって荷物を3PL(サードパーティ・ロジスティクス)に委託するとしても、効率化のために総合物流保管施設を持っている3PLであれば、施設使用料といったコストがかかってくる可能性もあります。

再雇用社員も、アウトソーサーも安心して働ける職場ですか?

トラックドライバーの高齢化や人手不足を、アウトソーシングだけでなく定年後の再雇用で乗り切ろうという考え方もあることでしょう。ですが、いったん雇用契約が終わった人は、再雇用する際に「会社の外から」職場を見つめ直す機会を持つ、ということを忘れないようにしましょう。

「もう一度ここで働こうか?」と考えたときに職場の環境は、安全で働きやすいでしょうか?

たとえば、倉庫の環境が暗く、冷暖房のような快適に働ける設備が整っていないかもしれません。あるいは倉庫レイアウトが迷路のようにわかりにくく、時間のロスが発生するかもしれません。ものが散らかっていて、紛失といった思わぬ業務のロスや事故が発生しやすいかもしれません。

こうした問題点を、定年後の元社員や外部の3PLの目で見たとき、果たして再雇用契約に応じたり、円滑に業務のアウトソーシングを引き受けたりしてくれるでしょうか。

つまり、人手不足解消の施策や業務のアウトソーシングを行うということは、現在の企業の設備環境を総合的に見直すことにつながります。結果として、作業しにくい倉庫や設備の改修を迫られるといったコストがかかることも考えられるでしょう。

人手不足解消のためのコストとは、単に3PLに業務を委託する外注費だけではありません。業務フロー改善のためのシステム関連費用や設備改修費用などがさまざまにかかってくる可能性があります。

これは、間近に迫ったドライバーの高齢化に伴う退職などの節目の時期には避けられない課題といえます。むしろ、業務改善のための好機と捉えて、2020年代以降を乗り切る企業を作っていきましょう。

 

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