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【梱包道場】変幻自在!ポリ袋の世界

【梱包道場】変幻自在!ポリ袋の世界

【梱包道場】は、トヨコン社員・木村ラマヌジャンが、設計や素材など、梱包の基本的な知識について学んでいくシリーズです。

~ある日のトヨコン・豊川営業所~

ラマヌジャン「戻りました~……ハァ……ハァ……」

K先輩「ど、どうしたラマヌジャンそんなに荷物抱えて?」

ラマヌジャン「いやぁ……明日の社内バーベキューの材料、スーパーで買い物してきたんですけど」

K先輩「なんで肉も野菜も全部袋に入れてないんだ?」

ラマヌジャン「『ビニール袋下さい』ってお願いしたら、『ポリ袋ですか』って聞かれたんですよ。『いいえ、ビニール製の袋じゃないとだめです!』って言ったら、『ありません』って言われちゃって……」

K先輩「おい、肉の容器がボロボロじゃないか……中身は大丈夫なんだろうな?」

ラマヌジャン「袋がないから全部バラバラで持ってきたら途中で落としちゃって大変でしたよ」

K先輩「うーむ、しかし、それはスーパーの方が正しいぞ。いいか、実はビニール製の袋ってのは今はほとんどないんだ。今日はそれを教えてやろう!」

ポリ袋?ビニール袋?その違いと特徴は

「ビニール袋」と呼ばれているものは、実はほぼすべてがポリ袋です。以前は実際にビニール製の袋が多く使われていたことから、今でもこの呼称が残り、一般的に「ビニール袋」と呼ばれることが多いのです。現在ではポリエチレン製のフィルムによって作られたものが多くを占めており、これは正しくはポリ袋という名前です。

 ラマヌジャン「へぇ~! いつも使っているビニール袋はビニールでできた袋だと思っていましたよ!」

K先輩「それは実は全部ポリ袋だったというわけだ。ポリ袋は梱包資材として、ちゃんと規格もあるんだぞ」

ポリ袋の規格

ポリエチレンフィルム製袋は、日本工業規格JIS Z-1711に規格化されています。このなかで、家庭用や業務用の平袋(ポリ袋)の構造や形状、材料、袋の番号、㎜単位で幅・長さ・呼び厚さなどが規定されています。

厚さについては、フィルムの種類によってJIS Z-1702に次のように規定されています。

  • 1種 A比較的柔軟性をもつもの。
  • 1種 B比較的柔軟性をもち,特に耐衝撃性をもつもの。
  • 2種 A比較的こわさをもつもの。
  • 2種 B比較的こわさをもち,極薄用又は強化用として用いるもの

このほかJIS Z-1711ではポリエチレンフィルム製袋の外観や性能について、気泡やムラ、異物混入がないことなど、品質上の基準の規定もあります。

 ラマヌジャン「きっちりサイズが標準化されているんですね。でもここにあるサイズ以外のものはないんですか?」

K先輩「いいところに気がついたな。ここにあるのはあくまで一般的なサイズを規格化してあるだけで、実際にはいろいろなサイズのポリ袋が世の中では使われているんだ」

ラマヌジャン「標準規格以外のサイズが欲しいときはどうすればいいんですか?」

K先輩「そんなときはオーダーして作ってもらうことになるんだ」

ポリ袋をオーダーするには

JISによって規格化されているポリ袋ですが、現在の複雑な物流の現場では、規格のサイズだけではとうてい需要にこたえることができません。

そこで大量生産されるものについて、オリジナルサイズのオーダー品がよく使われています。また、JISで規定されているのは平袋のみです。底面にマチのあるガゼット袋の場合は、各部のサイズを指定してのオーダーが必要となります。

ポリ袋をオーダーする場合には、次のような項目を伝える必要があります。

  • 仕上がり幅(たたんだ状態での袋の横幅)
  • マチ(たたんだ状態でのマチの幅)
  • 長さ(たたんだ状態での袋の縦の長さ)

これらの情報から出来上がった袋は、広げた状態で次のようになります。

[長さ-(マチ+シール部分)=高さ]

また、奥行きについては

[マチ×2]

の寸法となります。

 ラマヌジャン「難しそうですねえ」

K先輩「難しそうに見えるが、実際に必要な情報は、仕上がり幅・マチ・長さの3つだけだ。慣れると簡単だぞ。さあ次は材質についてだ」

ラマヌジャン「はい!」

ポリ袋に使われるポリエチレンの種類

  • 低密度ポリエチレン(LDPE)
    突き刺し・衝撃に対する強度に優れ、しなやかで伸びやすい。つるつるした質感で透明性を持つ。
  • リニア低密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
    上のLDPEと比べより強い強度を持つ。
  • 高密度ポリエチレン(HDPE)
    伸びにくく、引張強度に優れる。硬めでシャリシャリした質感。
  • メタロセン触媒直鎖状短鎖分岐ポリエチレン(LLDPE)
    機械強度に優れている。
  • 無延伸ポリプロピレン(CPP)
    湿度に強いという特徴を持つ。
  • 二軸延伸ポリプロピレン(OPP)
    ヒートシールが容易。伸びにくく透明性に優れている。

 ラマヌジャン「ポリエチレンにもいろいろな種類があるんですね!」

K先輩「そうなんだ。だけどよく見てみろ。ポリエチレンだけじゃなくポリプロピレンもあるんだぞ」

ラマヌジャン「あ、本当だ! ポリ袋ってポリエチレンだけじゃないんですか?」

K先輩「そう、一部にはポリプロピレンが使われている。実はポリエチレン製のもの、ポリプロピレン製のものを合わせてポリ袋と呼んでいる場合があるんだ。」

ラマヌジャン「なるほど! どっちも“ポリ”袋ですもんね!」

K先輩「じゃあ、次はポリ袋がどんなところで使われているか見てみるぞ」

ポリ袋はこんなところで活躍

ポリ袋はさまざまな形・色・サイズ・質感のものがあり、あらゆる場所で使われています。

  • スーパーのレジ袋
  • 傘袋
  • ゴミ袋
  • 野菜の包装
  • 服のショップ袋
  • パレットカバー

まとめ

ラマヌジャン「ポリ袋って本当にいろんなところで使われているんですね」

K先輩「いろいろなところで、非常に多目的に使われているからこそ、しっかりと考えないといけない問題もある。最近では生分解性ポリ袋や光分解性ポリ袋のように、自然に分解されるポリ袋の研究が進んでいるんだ」

ラマヌジャン「たくさん使われているからこそ、環境への配慮も大切ってことですね」

K先輩「ポリ袋が、身近なものから物流資材にまで幅広く活躍してるってことがわかったか?」

ラマヌジャン「はい! 次からスーパーでもビニール袋じゃなくて、高密度ポリエチレン製の袋ありますかって聞くことにします!」

K先輩「……それじゃもっとわかんないだろ!」


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