梱包材入門【食品包装編】4つの役割と設計のための2ステップ
ハムやレトルトカレー、スナック菓子やジャム、缶詰など、食品はさまざまな方法によって包装されています。今回は、このような食品包装について、役割や機能、包装設計のポイントをご紹介します。
食品包装の4つの役割
食品包装にはどのような機能が必要とされ、どのような役割を果たしているのかを見てみましょう。
1.内容物の品質を保持・保護する
食品包装は、生産・包装・流通・消費の過程で、外力や環境変化によるダメージから食品を守る役割を持ちます。また、品質保持期限が延長されることで食品残渣(ざんさ)の抑制にも繋がります。食べ物の無駄な廃棄を減らせば、その後の処理にかかる手間が減り、環境についての問題へも取り組みやすくなります。
2.取り扱いを便利にする
次に挙げられる食品包装の役割は、輸送・保管・陳列など流通上の効率向上です。複数個の商品を箱詰めするとき、効率的に箱に収められる形状にすることで積載効率が上がり、輸送時のコスト・労力の削減に繋がります。また、そのまま使用しやすい梱包にすれば、消費者の利便性も向上させられます。手に持って絞るだけで思い通りの量を出せるマヨネーズの容器はその代表例です。
3.情報を表示・伝達する
食品包装には情報を伝える連絡係としての役割もあります。製造内容や品質期限、アレルゲン含有や使用方法などの情報を表示して、消費者にわかりやすく伝えます。食の安全や消費者の健康に関わる大切な役割です。
4.広告効果により販売を促進する
さらに、広告塔としての機能も食品包装が持つ役割のひとつです。消費者に対し、商品の魅力を視覚的にアピールすることで購買欲を高めます。売り場で陳列されているときに、パッと目を引く包装によって、商品の売れ方が大きく左右されることもあります。
食品包装を設計するための2ステップ
それでは、食品包装を設計するときにはどのようなことに気をつけなければならないのでしょうか。2つのステップに分けて考えてみましょう。
使用条件を知る
食品包装を設計するときには、商品についての特性と条件を知る必要があります。特に次の3つの条件についてはしっかりと調査し、把握しておきましょう。
- 食品としてどのような特性を持っているか
- どのような条件・環境下で流通されるのか
- どのような方法で保管・使用されるのか
必要な機能を考える
上の3つの使用条件から、必要な機能を考えます。このとき、具体的に次の項目に分けて、求められる機能を満たしているかどうかを考えます。
- 保護性
遮光性や耐熱性、包装材の強度や密閉性は十分か - 安全衛生面
異物混入・コンタミネーションの可能性はないか、いたずら防止や使用時のケガ防止は十分か - 使用性
開封・密閉・再開封の機能、持ちやすさや置いたときの安定性など - 情報伝達性
どのような情報を表示すべきか、また表示の見やすさは十分か - 環境適性
分別しやすい構造か、またリサイクル性の高い材料が使われているか - 生産性
資材コストや包装作業コストは見合っているか - 適法性
食品衛生法・PL法・日本農林規格・容器包装リサイクル法への適法と知的財産の保護
食品包装の種類と機能
これらの役割を満たし食の安全を守るために、食品包装の技術は進化してきました。その種類と機能の例をご紹介します。
密封包装・密封殺菌包装
微生物や害虫の侵入を阻止し、さらに加熱殺菌する包装方法です。ブリスターパック・ビン詰・缶詰・レトルトパウチなどがこの方法です。
真空包装
カビや害虫、好気性菌の発育を阻止し、酸化も防ぎます。魚肉類や麺類、菓子類の包装に使われます。
ガス置換包装・ガス封入包装
色調を保持しながら酸化を防止し、また中身の破損を防ぎます。生肉や刺し身、ポテトチップスの包装はこの方法が使われています。
脱酸素包装
脱酸素剤を封入することにより、酸化を防止し微生物の繁殖を防ぎます。食用油や日本茶の包装に使われる方法です。
無菌充填包装
無菌環境で包装する方法で、加熱変性を低減し生鮮品質を保持します。生ハムや生菓子、レトルトご飯などの包装に使われています。
食品包装は現代の食に欠かせないもの
食品包装の持つ4つの役割と、食品包装を設計する際に必要な2つのステップをご紹介しました。食品包装は、食品を接触から守り、品質寿命を伸ばす役割を持つだけでなく、流通や使用時の利便性の向上、消費者に対しての商品情報の伝達といった、重要な役割も果たしています。もしも食品包装がなければ、現代の食の流通は成り立ちません。食品包装は現代の食にとって欠かせない存在となっているのです。
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