【SDGs思考の梱包資材】収まらないウッドショック!長尺重量物梱包の対抗策実例
『ウッドショック』当ブログで2回目となる話題です。最初にウッドショックを取り上げたのが、ちょうど1年前の2021年6月でした。その時点では、2021年末には収まるのではないかと淡い期待がありましたが、1年後の現在では、さらに危機的な状況となっています。
昨年とは異なるウッドショックの新たな要因
当初のウッドショックは、アメリカのコロナ禍による住宅環境への意識変化により、需要が急増した事に起因していました。また、住宅ローンの低金利化と重なったことが大きな要因として挙げられていました。
現在は、「米長期金利の上昇を受け、住宅ローン金利が急騰している。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によると、4月8~14日の週に30年固定金利(平均)は5%となった。5%台に乗せるのは2011年2月以来、11年2カ月ぶり。」と2022年4月15日付 日本経済新聞朝刊にて報じています。
金利上昇によりウッドショックは解消見込みのはずでしたが、ロシア/ウクライナ紛争勃発により先行きは全く見えなくなりました。ロシアは世界2位の木材輸出大国です。ロシアへの経済制裁により、今後も引き続き世界的な木材不足、価格高騰が危惧されます。
資料元:林野庁 木材貿易対策室「世界における木材貿易の流れ」を加工して作成
日本におけるウッドショックの影響
「政府は31日、2021年度の森林・林業白書(森林・林業の動向)を閣議決定した。国内で消費する木材のうち国産材が占める割合を示す「木材自給率」が10年連続で増え、20年にほぼ半世紀ぶりに4割台に回復したことを紹介した。」と2022年5月31日付 日本経済新聞夕刊の記事にありましたが、木材の品薄による価格高騰の状態が継続し、納期遅延、短期間での価格改定要請、更には材料入手困難による製造停止、業務撤退など、厳しく悲痛な情報を聞いています。
コロナ禍による流通停滞、ウクライナ/ロシア紛争の影響は、今後数年は継続する可能性もあり、木材不足や価格高騰が解消される情報は乏しいのが現実です。
長尺重量物梱包が仕様変更困難な理由
その厳しい状況下の中、今回のブログでは、前回の段ボールパレット編につづく第二弾として、重量物かつ長尺品の段ボール包装事例を紹介いたします。事例の製品は、海外向け細径ステンレスチューブです。梱包は最大長3m超、最大重量250kgとなり、木材を使い釘打ちした、強固で信頼性ある丁寧な仕様です。
木材梱包は、主に重量物で採用されることが多く、産業機器など形状が複雑な製品において重宝され、信頼される仕様ですが、その特長から木材以外の仕様へ変更する思考にはなりにくい現状がありました。
ウッドショックへの現実的な対応策として、弊社は段ボールの中でも特に強固な、強化段ボールと称される素材を採用した仕様を提案しました。段ボールは木材と比較すると、明らかに強度不足と感じるかもしれません。一般的には、多種多様な重量物梱包に段ボールを採用することは、リスクであると考えても止む無しかもしれません。
段ボールによる初版仕様は、お客様による包装落下試験において、見事に途中から折れてしまいました。これは柔軟性のある長尺重量物の落下衝撃挙動が、設定した段ボール構造仕様の耐性を超えていたためでした。長尺重量物の思いがけない挙動は、木材仕様を採用する多くの企業様が「自社製品の木材梱包は変えられない、変更は難しい」と考える理由を垣間見たようでもありました。
SDGs思考で考える特長を活かした包装設計
しかし、段ボールは、比較的自由な包装設計が可能な素材です。条件に合わせた仕様を容易に検討でき、程度問題はありますが、包装設計を駆使し強度アップをすることが可能です。本例においても最大包装重量を調整しつつ強度アップを実現した、2次仕様において落下試験をクリアしました。
≪強化段ボールを含む段ボール包装資材の特長≫
- 環境性
植物由来素材でありゼロエミッション(脱炭素素材)として世界的にSDGs対応素材と認知 - リサイクル
世界的にリサイクルシステムが構築されており繰り返し再生、再利用され有用な資源扱い - 仕様
形状仕様の自由度が大きく製品や輸送状況に合わせた包装設計が可能 - 作業性
比較的軽量でハンドリングや作業性が良好、作業事故等のリスク低減 - 調達性
入手性やコストが比較的安定しており少量lotに対応でき短納期が可能 - 保管性
輸送や保管において省スペース(仕様の影響あり) - コスト
軽量による輸送コスト低減、素材単価は比較的低コスト
まとめ
今回採用した強化段ボールは、木材の代替えとして開発された歴史があり、「ウッドショックを受けて立つ!」「ウッドショックが追い風」まさにウッドショック時に最適な素材と言えるでしょう。
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参考:
・米住宅ローン金利5%に、11年ぶり高水準 申請は急減: 日本経済新聞 (nikkei.com)
・世界における木材貿易の流れ|林野庁
・木材自給率、半世紀ぶり4割超 林業白書: 日本経済新聞 (nikkei.com)